仙人谷ダム(富山県) (仙人谷への道【第6話】)
形式:重力式コンクリートダム
高さ:47.5m
場所:富山県黒部市
戦前に電力不足を補うために国策として建設され、1940年に竣工した発電用ダム。
ダム建設についてよりも、ダムへ至るアクセストンネルの建設が非常に困難で多数の犠牲者を伴ったため、有名なダムである。
トンネルは温泉湧出地帯を貫くためその岩盤温度は150℃を超え、採掘はまさに命がけであったそうであり、その壮絶な様子は、吉村昭の小説「高熱隧道」で窺い知ることができる。
シンメトリカルなその堤体は、下流の小屋平ダムとよく似た形をしている。
完成当時は巨大なローリングゲートが鎮座していたが、現在は斜め引上げのシェル構造ローラーゲートに改修されている。
ゲートピアを見ると、ローリングゲートの溝がコンクリートで埋められているのがよく解る。
左側ゲートの上から下流を見降ろす。
右側ゲートの上からも見下ろす。
完全に左右対称である。
戦前の突貫工事の影響か、コンクリートの打設跡がかなり不均一なのだが、そのラインがどことなくユーモラスで味があるなぁと思ってしまう。
天端から下流を眺める。この絶景を独り占め♪
ダムの正面にはトロッコ列車のトラス橋がかかる。
軌道の下には黒四発電所で仕事を終えた水が流れる、物凄く太い水圧鉄管が走っている。
う~ん、この鉄管の中をトロッコ列車で走れそうだ(笑)
ちなみにトロッコ列車をよく見ると、高熱隧道を抜けてきたため窓ガラスが曇っている。
左岸下部の水路に河川維持用らしい水が勢いよく流れ出している。
この水は水路トンネルを抜け、トラス橋の真下あたりでジャンプして黒部川に流れ落ちている。
静かな渓谷に、瀑布とも言える放流水の音が豪快に響き渡る。
右岸から上流側に、黒部ダムへと至る登山道が伸びている。
右岸上流から堤体を望む。
左岸上流から堤体。
仙人谷ダム。
この山奥の秘境に人知れず鎮座するダムは、70年もの長い間、豪雪や大雨など他の地域よりもずっと過酷な環境の変化に耐えてきて、今なお現役でクリーンな電気を供給し続けている。
もっと脚光を浴びても、いいんじゃない?
アクセス
自力で行くルートは、
欅平から登山道を約15km、徒歩約6時間。黒部ダムから登山道を約15km、徒歩約6時間。
ただし降雪・残雪のため欅平からは7月~10月、黒部ダムからは9月下旬~10月しか登山道を歩くことができない。
また、アクセスルートは滑落・転落の危険性が非常に高いため、充分な前準備をして行くことをお勧めする。
(自分は登山装備を揃え若干トレーニングをして、山岳保険に入ってから行った)
欅平から行く時は、絶対に懐中電灯を忘れないこと(漆黒のトンネルがある)
最寄りの温泉 「阿曽原温泉小屋」
秘湯中の秘湯。仙人谷ダムから登山道を約30分下流へ歩くと阿曽原温泉小屋に辿り着く。
小屋からさらに約5分下った場所に、周囲になにも遮るもののない湯船のみの露天風呂がある。
この温泉の解放感は、他の温泉ではなかなか味わえないと思う。
奥には湯気がもうもうと上がるトンネルがあり、そのトンネル内に湧く源泉をパイプで直接湯船に流し込んでいる。
まごうことなき100%源泉かけ流しの湯である♪
オンシーズンは1時間ごとの男女入替制となるそうだが、オフシーズンでお客が少なければ順番制の貸切となることもある。
唯一の難点と言えば、せっかく汗を流したのに小屋へ戻るまでの急な登り坂でまた汗をかいてしまうことか(笑)
http://azohara.niikawa.com/
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